フィンテックを知る フィンテックとは、「ファイナンス=金融」と「テクノロジー=技術」の語句を合わせた造語である。 以下のような特徴がある。 ・従来の金融機関のような口座や店舗を持たない ・金融業に分類されない ・事業者が銀行法の規制を受けない また、安全性の高いクラウドが安価に利用できるようになり、モバイル機器を用いた電子商取引の決済サービスが注目される。 ・Paypal 米ペイパルは、ネット上で店舗や個人から買い物する際、カード番号や口座番号を相手に通知せずに決済できるサービスを提供する。その後、個人が各金融機関にもつ口座の残高を一括して管理するサービスも拡充し、融資、クラウドファンディングの仲介業務などから収益を得る。 フィンテック企業は、ビッグデータと人工知能(AI)を活用して、既存金融機関の手の届かないニッチなサービスも手掛ける。 ・KrediTech 独クレディテックは、利用者の口座明細や、ネットで発信する情報から、人物像を瞬時に分析し、融資の審査に活用している。従来、審査期間が数日かかるのに対し、最短35秒で終了する。既存銀行の顧客とならない者にも金融サービスの利用可能性を広げ、個人の特性にあったサービスを提供する。 既存金融機関との関係 ・既存銀行はフィンテック企業と競合するのではなく、むしろ手を携えて利便性の高いサービスを提供することを模索している。背景には、グーグルやFacebookなど膨大な数の利用者と繋がるIT企業がフィンテックに乗り出した事情がある。これらのサイト利用者は、ひとつの銀行に比べ桁違いに多いので、サイトから送金できるようになれば、銀行より便利な窓口が現れることになる。 ・フィンテックに、官民を挙げて熱心に取り組んでいるのは米国と英国である。米国は規制緩和により健全な銀行が金融持株会社を設置することを認めた。英国も税制優遇や助成金などで企業家を支える。米英の共通点は、フィンテック企業と既存の金融機関の双方の強みを掛け合わせる環境を整備していることだ。 ・日本にとっての障壁は、決済業務の規制と銀行法による業務範囲の規制である。銀行は銀行法、電子マネー事業者は資金決済法、カード会社は割賦販売方式で規制されており、業種をまたぐ自由な競争は阻害されている。例えば、銀行法では、フィンテック企業への投資や子会社化を、日本の銀行に認めていない。 2015年11月20日~12月3日 日経新聞 ゼミナール 2015.12.1編集者A.R マチノキッドリサーチ
2015.12.1編集者A.R マチノキッドリサーチ